戒名と法名

戒名と聞くと、まず「高い!」、さらに「意味ない」「不要」「ばからしい」「必要か?」「何 のため?など、たくさんの疑問が寄せられていますので、お答えしていきたいと思います。 まず、戒名や法名はいくらでつけてもらえるものか、というのは、お布施なので、戒名料と いうのは正確ではありません。お気持ちなので、定価や値段が決まっているわけではありま せん。 しかしながら、戒名の目安(相場)としては、一番ランクの低い「信士・信女」で20万円 から30万円、中間ランクの「居士・大姉」で30万円から50万円、一番ランクの高い「院 号」で50万円から100万円以上、最高額になると何百万円どころか、限りなく天文学的 な金額になります。 平均的には何十万円程度ですが、現在では数万円で戒名を付けてくれるサービスもあるよ うです。 戒名はねぜ付けられるようになったのか、その起源をたずねると、平安時代にさかのぼりま す。 平安時代の貴族たちは、死んだ後もいい世界に行きたいと思い、死ぬ数日前から、数時間前 に出家するようになりました。 840年の淳和上皇や、850年の仁明上皇などが記録にある最初です。 なぜかというと、臨終に出家すれば来世は極楽浄土に往生できるだろうと出家が極楽往き の切符のように考えらるようになったからです。 出家するには、僧侶を呼んで受戒しますので、その時に戒名を付けてもらったのです。

もちろん、出家さえすれば極楽に往けると説かれたお経はありません。 仏教の教えに根拠はないのですが、平安時代中期には、ほとんどの貴族が臨終に出家したい と考えて、死ぬ数日前から死の当日に出家することがよくありました。 1016年、藤原道長は50歳で摂政になり、52歳の時には「この世をばわ が世とぞ思 ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」と歌って栄耀栄華を極めたのですが、それも ごくわずかの期間だけで、翌年53歳のときには病気になり、死ぬかもしれないと思い出家 して法名を付けました。 そのときは何とか持ち直しましたが、死のインパクトに驚き、その後はお寺の建立に力を入 れています。 やがて1028年、62歳のときに、いよいよもうすぐ死ぬと思い、死んだら極楽浄土へ生 まれたいと思って、自分の建てたお寺で九体の阿弥陀如来の手と自分の手とを糸で繋ぎ、念 仏を称えながら死んでいます。

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